2012年2月に採択された、北太平洋における公海の漁業資源の保存及び管理に関する条約。北太平洋公海域では底魚漁業に関連した地域漁業管理機関がなく、国際資源管理体制が構築されていない。国連は、底魚漁業に対して、持続的漁業の達成のために地域的な漁業管理のための機関及びその枠組みを求めてきた。日本政府は、これを受けて06年から北太平洋公海域の資源を利用する沿岸国、遠洋国に呼びかけて政府間協議を毎年開催してきた。当初の交渉参加国は、日本、韓国、ロシア、アメリカの4カ国であり、後に中国、カナダも加わった。地域漁業管理機関である北太平洋漁業委員会を設立するとともに、北太平洋の漁業資源の長期的な保存及び持続可能な利用を目的とし、網羅的な資源の保存管理措置をとることを定めている。締約国の義務は、自国船に対する保存管理措置の順守徹底だけでなく、寄港国として非契約国の漁船に対しても漁獲物の検査などの措置を実施することである。本条約は4カ国が批准して締結すればその180日後に発効する。日本、カナダ、ロシアそして中国が批准し、2015年1月21日に本条約を締結した。発効日は、2015年7月19日となった。対象となる資源は、天皇海山漁場で漁獲されるクサカリツボダイ、キンメダイに加え、サンマやアカイカも対象となっている。日本にとってはどれも重要ではあるが、とくに日本、韓国、中国、台湾、ロシアの間で漁獲競争が激しくなり、かつ近年台湾、中国が漁船数を増やしているサンマ漁船に対する規制措置が注目される。