人間の管理下で水生動植物を育成すること。その方式は、まず餌料を与える給餌型と与えない無給餌型とに分けられる。日本では、給餌型としてはブリ類、マダイ、クロマグロ、トラフグ、ギンザケ、シマアジ、ヒラメ、ウナギなどがあり、無給餌型としてはカキ、ホタテガイ、ノリ、ワカメ、コンブ、ホヤなどがある。また養殖の場所として水面(海面、内水面)と陸上とに分けられる。水面では、生けす、いかだ、垂下式施設を使った施設養殖や、築堤式など水面を囲い込んで行う養殖がある。陸上養殖では人工池や生けすなどが使われ、養殖施設内の水については常時外部から掛け流す方式もあれば、浄化装置を使って循環させる方式もある。水源は地下水、海、河川などである。対象魚種としては、ウナギ、ヒラメ、トラフグ、マス類などがある。養殖は、天然資源を漁獲する漁業と比較して安定生産が可能である。しかし、必ず安定するというものでもない。完全養殖が行われているマダイ養殖、クロマグロ養殖の一部やノリなど海藻類養殖を除き、大々的に行われている養殖のほとんどが天然種苗(稚魚)に依存している。そのため、採苗(稚魚捕獲)不振が発生すると、養殖できる生産量が減り、価格が高騰する。昨今ではウナギがその例である。また、海洋環境の変化や環境汚染によってもへい死率が上昇し、生産量が減少することがある。養殖とはいえ、工業のような安定生産にはならない。