都市に住む若い世代が農村への関心を高め新たな生活スタイルを求めて、農山漁村へ移住したり、定年退職を契機として農山漁村へ定住したり、都市と農山漁村を人々が行き来する傾向が高まっている状況のことである。都市部のような利便性はなくても、豊かな自然とのふれあいや子育てをしやすい環境などを魅力としながら、山間部や離島を含めた中山間地域(平野の外縁部~山間地)に定住する人々が近年増加しつつある。実際に、定住促進を進めてきた島根県では、県の大半を占める中山間地域のうち、3分の1を超えるエリアで4歳以下の子どもの増加がみられ、その親世代である30歳代の増加も確認されている。人口流出が著しく、過疎発祥の地だった島根県では昨今、人口流入が生じているのである。2015年に公表された「食料・農業・農村白書」にも登場するなど、政府刊行物においても田園回帰は認知されており、住居や仕事の確保といった定住促進のための条件整備などを通じて、衰退傾向にある地域の再生や都市と農村との共生が可能となる地域社会の形成につなげていくことが期待される。