国連食糧農業機関(FAO)の定義では、生産から貯蔵、流通、加工、販売、消費に至るフードチェーン全体にわたって発生する食料の量的減少のこと。特に収穫後の調製、輸送、貯蔵、加工段階で捨てられてしまう場合を「食料ロス」、小売、最終消費段階で捨てられる場合を「食料廃棄」という。日本の農林水産省では両者を区別せずに、捨てられている食材を「食品ロス」と呼び、不可食部分や食べ残しに加え、まだ食べられるのに捨てられている食材も含めて捉えている。近年、世界では生産量の3分の1にあたる約13億トンの食料が毎年廃棄されており、特に先進国での消費段階において多くの廃棄が発生している。同時に日本では、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食材の排出量が、年間約500~800万トンにものぼると推計されている。日本の食品ロス量は世界全体の食料援助量(約400万トン)の約2倍であり、日本の米生産量(約850万トン)に匹敵している。食料ロス・廃棄の問題は飢餓と飽食が併存する現代世界を象徴しており、早急な解消が期待される。