東京都が開設する公設市場の一つ、築地中央卸売市場(築地市場)の移転にまつわる問題。築地市場は水産物部門4401億円、青果部門889億円(2015年)と国内でも圧倒的な規模を誇り、訪日観光客の観光名所にもなっている。1935年に現在の東京都中央区築地(旧京橋区築地)に開設された。施設の老朽化や狭隘化などを理由に、2016年11月7日に近隣の豊洲市場(東京都江東区)へ移転する予定であったが、16年7月に就任した小池百合子東京都知事の判断によって延期された。今回の移転は、現在地での再整備失敗などの挫折や、市場関係者内の移転推進派と反対派の対立、移転先である元東京ガス工場跡地の土壌汚染問題を乗り越えて実施される予定であった。しかし直前になって、土壌汚染対策として予定していた市場施設内の地下空間への盛り土がなされていないことが判明。移転事業を取り仕切った都政への疑惑と、安全性に対する懸念が再燃した。東京都は小池知事体制下で、「豊洲市場における土壌汚染対策等に関する専門家会議」を設置。地下空間に溜まった地下水の有害物質のモニタリング調査をもとに、移転について再検討をしている。