既設建築物の耐震性能を向上させるための補強・改修。1995年12月に耐震改修促進法が施行。その後新潟中越地震(2004年)や福岡西方沖地震(05年)などの大規模地震が頻発し、地震防災戦略の一つとして06年1月に改正耐震改修促進法が施行され、国土交通省は住宅および特定建築物の耐震化率を15年までに9割にすることを目標に、積極的に耐震改修を指導・支援している。耐震改修の技術としては大きく三つに分けられる。(1)耐震壁やブレース材の増設、柱・梁など構造体の補強など地震力に抵抗する強度補強で、炭素繊維などの新素材補強工法もその一つ。(2)弾塑性ダンパーと呼ばれるエネルギー吸収装置を設置することで、地震による建物変形に対応しようとする制震補強、(3)建物最下階の免震層に新たに積層ゴムなどの免震装置を設置して、地盤と建物を絶縁し、地震の揺れが建物に伝わらないようにする免震補強などであり、耐震診断の結果や想定する地震規模、建物用途、改修の費用・手順・工期などによって使い分けている。