戦後の経済成長に伴い損なわれた自然環境の回復を目的に、2003年1月に施行された自然再生推進法に基づく事業。同年4月、自然再生事業を総合的に推進するための基本方針が定められ、全国各地で自然再生事業が開始された。自然再生事業の進め方として、まず事業実施者(公有地の場合は国・地方公共団体等)は地域住民、自然環境・建設技術の専門家、関係行政機関等とともに協議組織を設置し、そこで全体構想を作成する。実施者はこの全体構想に基づき実施計画を立て事業を実施する。現在、国土交通省では河川、港湾分野等で自然再生事業を開始している。個別事業にはラムサール条約登録湿地で国立公園でもある釧路湿原の保全、渡良瀬遊水池の湿地再生、荒川流域での蛇行河川の復元による河畔林の再生、三河湾での浚渫(しゅんせつ)土砂の有効利用による干潟再生事業等がある。自然再生事業には建設技術の専門家の構想段階からの参画が必要とされ、地域の自然環境の実態に詳しい地場の建設業者にとって新しい形態のビジネスチャンスが生まれている。