首都圏を流れる荒川と江戸川に挟まれた埼玉県春日部市の中川流域の低地の洪水対策として、国道16号の地下約50mに建設された地下放水路。直径30m、深さ約70mの五つの立坑、延長6.3kmの水路トンネル、調圧水槽、排水機場等から成り、世界最大規模を誇る。降雨時、中川、倉松川、大落古利根川等の中小河川からあふれた水を、流入路を通じて立坑に流入させ、水路トンネルを流下させて調圧水槽に導き、排水機場から排水ポンプ(最大排水量毎秒200t)を使って江戸川へ排出する。稼働前の2000年7月の台風3号は、降雨量159mmで浸水面積113.7ha、浸水戸数236戸の洪水被害をもたらしたが、02年6月に部分的に稼働した直後に首都圏を襲った台風6号では、降雨量196mmで浸水面積2.2ha、浸水戸数1戸と当該流域の洪水被害が激減した。また、広大な調圧水槽は古代の神殿を思わせる造りで、テレビ番組・映画の撮影やイベント等にも使用されたことがある。