前方にカッターが付いたシールドマシン(筒状の掘削機)を使って、地中を掘り進むトンネル掘削工法である。掘削機を発進させるための立坑を掘り、地中に設置した掘削機をジャッキで地山に押し込みながら掘り進む。掘削機の後方で、鋼製やコンクリート製のセグメント(掘削済みの部分を支える資材)を組み立て、覆工を行う。都市部の複雑な地盤条件や工事条件に対応するため、泥水加圧式や泥土圧式等の様々なシールド工法が開発され、国内外の都市トンネルや海底トンネル等において多用されている。シールド工法が開発される前には、都市部でのトンネル工事は地面の上から掘り下げる開削工法が主流であったが、道路交通や周辺環境への影響が大きい等の課題があった。シールド工法は地中を掘り進むため、地上の道路交通を阻害することなく周辺地盤を乱さないで施工でき、また狭い工事用地や軟弱地盤、大深度地下など厳しい工事条件においても安全に施工できることが大きな特徴である。19世紀にフランス人技師のマーク・ブルネルがフナクイムシを見て考案し、イギリスのテムズ川を横断する水底トンネルに初めて採用された。日本で本格的に使用されたのは、1936年の国鉄関門トンネル(山口県~福岡県)の施工が最初である。日本国内における工事件数は、ここ数年、年間約60~100件で推移している。