盛土・切土に伴ってできる土の傾斜面(法面)を植物で被覆することをいう。降雨・風化による浸食や表層崩壊等からの法面保護と、景観の向上、環境の保全などを目的として行われる。法面緑化工法の一つである、植物の種子を用いる播種工は、植生シートや植生土嚢(どのう)袋の設置、種子・客土・厚層基材の吹き付けなどの方法で行われる。これによって育成された樹木(播種木)は根が発達して倒れにくく、自然災害にも強い群落を形成することから、植物の生育環境として厳しい条件にある切土法面で多く用いられている。播種工の他に、成長した草本類・木本類を用いる植栽工や、自然植生の復元を促進する植生誘導工がある。注意すべきは、播種工や植栽工において法面周辺に自生しない植物を使用すると、在来植生が変移して動物や昆虫の生息環境など生態系を壊す恐れがある点で、現場周辺の植物相を十分調査した上で使用植物を選ぶ必要がある。また、緑化すべき法面が、硬土、岩質・礫(れき)質土など植物の生育に不適切な土質だったり、急勾配(こうばい)斜面だったりするなど、植生の定着上問題があるときは、法面を補強・改質するためにコンクリート枠や金網や繊維ネット張りなどによる緑化基礎工が併用される。地球環境問題が世界の共通認識とされる中、法面緑化により樹林が形成されれば、二酸化炭素の吸収・固定が促進され、地球温暖化の防止にも有効である。