不動産市場とは不動産の取引に関する市場全般を言うが、取引の対象が権利かサービスかによって、不動産売買市場、不動産賃貸市場に区分され、または取引対象の用途から住宅市場と商業不動産などの非住宅市場に区分される。不動産売買市場、不動産賃貸市場と金融市場は密接に結びついている。不動産の需要者は、売買市場に参加する(購入)か賃貸市場に参加する(賃借)か検討するが、前者の場合には資金の調達から金融市場において資金の需要者になり、後者の場合には金融市場において余剰資金の供給者になる。不動産の供給者についても同様に、売買市場に参加する(売却)か賃貸市場に参加する(賃貸)かの選択があり、その選択によって金融市場における行動も異なることになる。1990年のバブル崩壊以降、資金調達手法として不動産の証券化が進展し、不動産市場と金融市場が一層密接に結びついた。不動産の証券化を通じて市場は活性化したが、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した2008年以降の未曽有(みぞう)の金融危機は、複雑化した証券化(二次証券化、CDSなど)を通じて、世界にリスクが拡散することによって生じた。