潜函工法は、地下構造物の構築方法で、あらかじめ地上で構造物を製作し、その重量を利用して地下に沈めていく施工法である。通常は、底のない函(箱)状の構造物(ケーソン caisson)を、内側の地盤を掘削することで地中に潜らせていくので、ケーソン工法とも呼ばれる。ケーソンの先端を外側に向けて刃形にとがらせるため、自重で沈みやすくなっている。掘削時に湧き出る地下水対策として、常圧のまま吸水ポンプを用いて排水するオープンケーソン工法と、内部の空気圧を高めることで地下水の湧き出しを抑えるニューマチックケーソン工法がある。潜函工法は、(1) 施工中の周囲の地盤崩壊を防ぐために側面を保護する山留工事が不要、(2)隣地への近接施工が可能、(3)地上製作なので品質確保が容易などの利点があるが、構造体をバランス良く沈める必要があるため、一般に形状が単純な構造物で用いられることが多い。一方、四角い函(箱)状の構造物であるボックスカルバートやケーソンなどを、泥水溝や海中に沈めて連結する工法は沈埋工法と呼ばれ、軟弱地盤での下水道工事や海底トンネル工事などで採用されている。