ダムは、治水や利水を目的として河川などの水をせき止めるために建設される土木構造物である。使用材料(コンクリート、岩石、土砂等)や構造から分類され、以下のような種類がある。(1)重力式コンクリートダム(concrete gravity dam)は、水圧をダム自体の重さで支えるように建設されたコンクリート製のダムで、様々な形状の河川や渓谷で建設可能であり、また最も頑丈な形式であるため、近代以降、日本では最も多く建設されている。(2)アーチ式コンクリートダム(concrete arch dam)は、堤体をアーチ形にすることにより、水圧を両岸の岩盤に分散する構造のダムである。堤体は薄くすることができる。堅い岩盤のある渓谷に建設される。(3)アースダム(earth dam)は、土を台形状に積み上げ、中央部に不透水性の土を入れたダムである。あまり大規模なものはないが、比較的軟らかい地盤でも建設可能である。(4)ロックフィルダム(rock-fill dam)は、岩石や土砂を積み上げて建設されるダムである。堤体の中央部(コア)に粘土質の遮水壁、周りに砂や砂利からなるフィルター材、さらにその外側に岩を敷き詰めたロック材の3層構造となっている。そのほか、(5)上流からの土砂を蓄えたり河床勾配(こうばい)を緩和したりするために、小さな渓流などに建設される砂防ダム(sediment control dam)がある。砂防ダムは重力式コンクリートダムに似た構造となっている。