逆打ち(さかうち)工法は、地下構造物を上から下に向けて構築していく施工法である。地下部分をすべて掘削して、最下層から上に向けて構築していく通常の順打ち工法に対して、上下層のコンクリート打ちの順番が逆となるため、この名称で呼ばれる。逆打ち工法は、(1)地下と地上の工事を同時並行して施工できるので、全体工期の短縮が可能、(2)掘削時に本設の地下構造物が周辺地盤の崩壊を抑える山留め支保工の役割を果たすため、仮設の支保工が不要、(3)1階の床を先行して構築するため、地下工事の安全性が高まり、天候の影響を受けにくい、などの利点がある一方、(1)地下掘削の作業空間が狭くなる、(2)仮設開口部からの土砂搬出となり、効率が悪くなる、(3)コンクリートの打設、上下打継部の一体化が難しい、などの欠点もある。逆打ち工法は、1962年の大阪新阪急ビル(地下5階)での採用が始まりとされている。その後、工法の欠点を改良する工夫もなされ、最近では軟弱地盤での大型地下構造物や高層建築の地下工事では、逆打ち工法が主流となりつつある。