東京都など大都市における慢性的な交通渋滞は、日常生活や企業活動に時間的・経済的損失を与えるばかりでなく、排気ガスの増加など環境汚染の原因になっている。そこで、都市部の道路交差点や鉄道踏切個所で起こる交通渋滞を緩和するために、立体交差化工事の実施が急がれている。しかし、従来の工法では、作業スペースを確保するために交通規制が広範なものとなったり、立体交差化事業自体がさらに交通渋滞を発生させたりして、道路交差点の立体化完成に数年を要する場合が多かった。そのため、都市部での立体交差化事業は、作業スペースを抑えたうえで、かつ、短期間で施工ができる工法の開発が早急に求められている。大手建設業者(ゼネコン)や橋梁メーカーが開発した「短期間立体交差化工法」の特徴は、まず、橋げたなどの上部工と基礎・橋脚などの下部工を同時に施工することで工期を短縮する。さらに、工事に必要とされる作業占有帯を小さくすることで右折車線を確保するなど、工事期間中の車線規制や通行止めによる交通規制の最小化を図っている。国土交通省では、特に遮断時間が長い「ボトルネック踏切(あかずの踏切)」については、「踏切道改良促進法」を2011年度以降も5年間延長して、引き続き強力に推進するとしている。