タワークレーンは、地上から届かない高さの建物を造るために、建物を積み上げながら、自らも昇っていくクライミング式のクレーンのことをいう。マスト(支柱)、昇降フレーム、旋回体、運転室、ジブ、ワイヤ、フックで構成される。クライミングの方式には、フロアクライミング方式とマストクライミング方式がある。前者は、鉄骨造の超高層ビルの建設時に、クレーンを支える台座ごと、自ら建てた建物をよじ登る方式。最初、地上にタワークレーンを組み立て、数階分を施工。次いで、施工した最上部のフロアに本体を固定して、本体の油圧シリンダーでマストを引き上げる。マスト最下部を最上部フロアに固定して、今度は本体がマストを昇る。これを尺取(しゃくとり)虫のように何度も繰り返すことで、クレーンはビルを昇って行く。後者は、クレーンの台座は最初に設置した位置のまま動かず、クレーンを支えるマストを自ら上部に継ぎ足し、クレーン部分は自らのマストを昇降する。自立できる高さを超える場合は、ステーと呼ばれるつなぎ梁(ばり)で建物とマストの中間をつなぎ、支える。この方式は、ビルの高さに合わせたマストの高さが必要になる。東京スカイツリーでは、タワー塔体の鉄骨組み立てに、双方の方式のタワークレーンが採用された。