抵当権は担保物権の一つであるが、その内容を民法では「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」と規定する(民法369条1項)。具体的には、抵当権は、債権者(抵当権者)が自己の債権を確保するために抵当権設定者(通常は債務者)の不動産または権利の上に設定される。そして、抵当権の特徴は、質権と異なり非占有型の担保物権であり、抵当権設定後も債務者は不動産を使用収益できることである。抵当権は同じ不動産に対して重ねて設定できる。その場合各抵当権の優劣は設定された順番(不動産登記が第三者に対する対抗要件であるので実際は登記の順番)による。その順番により1番抵当権、2番抵当権といったように順位が付けられる。債務者が債務不履行に陥った場合、抵当権が実行されて不動産が競売され、抵当権者はその代金から他の債権者に優先して弁済される。抵当権設定の際には債権回収が可能かを検討するために不動産について担保評価が行われるが、不動産競売の落札価格は市場価格より1~2割低くなることが多く、抵当権の設定額は担保評価額の7~8割以内にされるのが一般的である。