建物の建設に先行して、建物の外側を覆う養生枠(保護・防護のための枠)が上部にのぼっていくことにより、高層部から物を落とすことなく、安全な環境で工事を進めるようになる工法。竹中工務店が地上300メートルの高さがある日本一の超高層ビル「あべのハルカス」を施工するにあたって開発した。従来の養生は、鉄骨を組み上げたあとに養生枠で覆う方法だった。このため、一時的に鉄骨が養生から突き出してむき出し状態になってしまい、高所の強風を受けやすく資材が落下するおそれがあった。スライドカバー工法では、油圧により上下にスライドする養生枠が、鉄骨の高さに応じて「最上階より上に伸びる形」で上昇して防護壁となり、超高層部分においても常に囲まれた環境で仕事ができるのが特長。この工法により、最上部では鉄骨の組み上げ、その下ではコンクリート打設、さらに下の階ではスライドカバー下部に「ホイストクレーン」と呼ばれるクレーンを設置することで、アルミカーテンウォールなどの外装資材をつって外側から取り付けていくといった、複数の工事を同時に、かつ安全に行うことができる。