天井裏の梁(はり)等から、つりボルトやハンガー等によって天井板や天井下地材をつり下げる構造の天井をいう。天井板はグラスウール、ロックウール等の軟質で軽量な繊維状の材料が使われる。学校の屋内運動場や講堂、屋内プールといった大規模空間をもつ公共施設やオフィスにつり天井の構造をもった建物が多い。防音や断熱に効果があり、施工性の良さや価格面で有利なため広く採用されているが、振動に弱く建物自体の耐震性が確保されていても、落下する恐れがある。実際に東日本大震災では、オフィスや公共施設などのつり天井の崩落被害が、東北や関東地方を中心に約2000施設にも及び、少なくとも5人が死亡、72人が負傷した。これまで、つり天井の設置に関する明確な規定がなかったことから、国土交通省では2013年8月に建築基準法施行令を改正し、新たな技術基準を策定した。これを受けて、文部科学省では各都道府県教育委員会に対し、新基準に沿った学校施設への対応を要請している。