ピロティとは、建物を高い位置に支え、地上面(通常の1階に相当する部分)の全部または一部を開けてつくる空間のこと。ピロティ構造は、2階以上の建物で、地上部分を柱などの構造体のみの、開けた空間とした建築形式、またはその構造体を指す。地上部分を柱だけの空間にして駐車場・駐輪場、店舗などの施設として使い、2階以上をオフィスや居住スペースとすることにより、土地を有効活用するためにピロティ構造を使用することが多い。ピロティ構造の建物の設計では地上面に耐震壁等が少なく、耐震性を損なわないために建物を支える構造に注意が必要となる。阪神・淡路大震災ではこのピロティ構造の建物につぶれ・崩壊が集中し、被害が増大した。その一方で、東日本大震災後の津波では多くの建物が流失したが、ピロティ構造の建物は外壁がないことで津波のエネルギーを受けにくかったため、被害が比較的少なかったとされる。今後、津波漂流物の衝突に耐えられるかどうかの検証が必要となる。