大深度地下とは、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」第2条によると以下の(1)または(2)のうち深いほうの深さの地下である。(1)建築物の地下及びその建設の用に通常供されること がない地下の深さ(40メートル以深)、(2)通常の建築物の基礎を設置するための利用が行われない深さ(支持地盤上面から10メートル以深)。
大都市の道路の地下にはすでに鉄道、電気、ガス、電気通信、上下水道等のトンネルや管路が埋設されており、新たに建設される地下鉄等はそれらを避けるように建設せざるを得なくなり、年々その深度が深くなっている。早い者勝ち、虫食い的な利用が行われないようにすることが必要となる。このため、公共の利益となる事業による大深度地下の使用に関し、当該事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利用を図ることを目的として、2000年に同法が制定された。
大深度地下は通常使用されない空間であるので、公共の利益になる事業の使用権を設定する場合に通常であれば補償すべき損失は発生しない。そのため、法律に基づいて事前に補償を行うことなく、大深度地下の使用の認可の手続きを経て使用権を設定することができる。ただし、井戸等がある場合など例外的に補償が必要なことがある。