地盤の強度に対して重量のある大型の建築物を施工する際、その荷重を安全に支持できる深く固い地盤(支持層)で支えるために地中に杭を打ち込む作業のこと。基礎工事の前工程にあたる。杭打ちは、通常、杭を支持層まで打ち込む支持杭を用いるが、支持層までの間にある程度の固さの地盤がある場合、杭の側面と地盤との間に働く周面摩擦力によって荷重を支える摩擦杭が採用されることもある。杭の種類には、工場で造られるコンクリート杭やH形鋼・鋼管杭などの既製杭と、現場で掘った穴に鉄筋の枠組みなどを挿入し、コンクリートを流し込んで打設する場所打ち杭がある。施工法として、既製杭には埋め込み工法や打ち込み杭工法(打撃工法)、鋼管回転圧入杭工法等が、場所打ち杭にはアースドリル工法やオールケーシング工法等があり、土質や環境、構築物の特性、施工条件によって選択される。2015年に、多数の杭が支持層に届いていなかったことが原因で横浜市内のマンションが傾いた事実に端を発し、全国各地で杭打ちデータ(電流値、セメント量)の改ざんが問題となった。電流値とセメント量について解説すると、横浜の件では、アースオーガーと呼ばれる掘削機のドリルで地盤に杭穴の掘削を行って既成杭を挿入するプレボーリング拡大根固め工法が用いられたが、この工法ではアースオーガーのモーター音・振動の変化や電流計の電流値の変化で支持層到達の確認が行われる。支持層に到達すると、杭を杭穴底部に固定するために掘削機の先端からセメントミルクを注入して根固め部を築造するが、このときに、流量計で杭穴に流し込むセメント量を計測することになっている。