板材を重ねて接着した大判パネルの建築材で、従来の集成材が繊維を並行にしていたのに対して、木の繊維方向が直角に交わることから「直交集成材」と称される。欧米では、1990年代から研究されはじめ、3~5階建ての中高層ビルや商業施設、アパートなどに使われていた。現在は、CLTですべてを賄うのではなく、RCや既存の集成材などを組み合わせることで、10階建ての高層ビルやマンションが建築されている。日本でも、横浜や東京都内で3~5階建ての商業施設や店舗兼集合住宅が建築されている。国産の杉やカラマツは、多孔質材料である木材の特性から断熱性が高く、気密性に優れ、しかも、熱伝導性が低い。90~210ミリメートル程度の厚みにすることで、十分な強度を有するCLTパネルが製作でき、高い耐震性も確保できる。パネル自体が柱や梁となり、接合部はビス・金具による接合が基本のため、従来の木造に比べて施工がシンプルで、熟練技能者でなくとも容易に施工が可能である。また、CLTパネルの製造・加工が工場で行われることから、現場施工が少なくなる利点があるが、コンクリートに比べてコストが高いのが難点で、今後、量産化に向けた生産体制が課題である。
CLTについては、JAS(日本農林規格)が2013年に制定して、翌年に施行した。林野庁と国土交通省では「CLTの普及に向けたロードマップ」を公表していたが、16年4月に国土交通省がCLTを構造材として使える新基準を定め、国交相の認定を受けなくても建設できるようになった。また、24年度までに年間50万平方メートル程度の生産体制を構築するとともに、各地域において中大規模建築物の木造化に意欲的に取り組む建築士を確保することを目指している。