訪日外国人客数が2012年に836万人であったのが、13年には1000万人を超え、15年には2000万人に迫り、17年には2869万人となり12年の3.4倍になった。ホテル、旅館の稼働率も高く11年に51.1%であったのが16年には60%になった。特に外国人観光客に人気が高い大阪府、東京都の稼働率は高く、大阪府の稼働率が84.1%にも達し、東京も79.4%と全国平均を大きく上回る。
このような宿泊施設の不足もあり、13年に制定された国家戦略特別区域法に基づく国家戦略特区の中で「特区民泊」が認められ、17年6月に「住宅宿泊事業法」(通称民泊新法)が制定(18年6月施行)された。民泊新法は、従来の旅館業法で定めるホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業や国家戦略特別区の特区民泊にあてはまらない新しい営業形態である「住宅宿泊事業」に関して規定する法である。住宅宿泊事業は旅館業法の対象外であり、家主居住型(届出住宅に人を宿泊させる間、住宅宿泊事業者が居住している)、家主不在型がある。行政への申告は、旅館業法の簡易宿所営業が許可制であるのに対して、民泊は届出制、特区民泊(大阪)は認定制である。
民泊新法による民泊は営業日数が180日以内に制限されるが、滞在日数の制限はない。またフロント設備は必要なく、居室の床面積にも規制はない。一方、特区民泊は営業日数の制限はないが、滞在期間に制限がある。当初滞在期間が7日以上(6泊7日以上)であったが、16年9月9日の国家戦略特別区諮問会議で3日以上(2泊3日以上)に緩和された。また、事業の主な目的はそれぞれ、簡易宿所営業と特区民泊が投資収益の獲得であり、民泊のうち家主居住型が文化交流で、家主不在型が休眠地活用である。