中央防波堤は東京湾の防波堤としてお台場沖合に建設され、1970年代から南北地域が廃棄物処分場として利用されて、現在は埋立地となった。中央防波堤埋立地とは、防波堤の北側に地続きで作られた「内側埋立地」と、そこから海路を挟んで南に位置する「外側埋立地」の総称である。内側埋立地の総面積は106ヘクタール(内埋立面積78ヘクタール)であり、現在は新貨物ターミナル、倉庫、廃棄物焼却場や東京環境局中防合同庁舎があり、東側に風力発電機がある。外側埋立地の面積は西側115ヘクタール、東側115ヘクタールである。中央防波堤埋立地には、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ボートとカヌー・スプリントの会場「海の森水上競技場」と、馬術の一部競技の仮設会場「海の森クロスカントリーコース」が整備される予定となっている。
中央防波堤埋立地は港区、江東区、品川区、大田区、中央区に海を介して接しており、帰属問題が生じている。02年12月に中央区、港区、品川区が帰属権の主張を取り下げ、帰属問題は江東区と大田区の2区に絞られた。17年10月16日に東京都の自治紛争処理委員会は「帰属割合を江東区86.2%(433.9ヘクタール)、大田区13.8%(69.3ヘクタール)とする」という内容の調停案を提示した。調停案は、(1)海岸線からの「等距離線」で区分される地籍を重視すべきこと、(2)内側埋立地が第二航路トンネルを介し江東区青海と、外側埋立地西側が臨海トンネルにより大田区城南島と、東側が東京ゲートブリッジを介し江東区若洲と結ばれていること、(3)埋立地のライフライン(電気、水道、ガス)が江東区側から供給されていること、を根拠としている。この調停案に対して江東区長は受け入れる考えを示したが、大田区長は受諾しない意向を示す。帰属問題は訴訟に発展する可能性がある。