携帯電話業界で携帯電話事業者(キャリアー)から端末の販売代理店に支払われる手数料のこと。キャリアーは端末メーカーから端末を購入した後、販売を委託する代理店に対して、端末を1台5万円程度で販売する。代理店はこの端末を1台2万円程度で消費者に販売する。その時点で代理店側は3万円程度の赤字を被るが、代理店は端末販売と同時に回線の新規契約を獲得するため、その対価としてキャリアーから1回線あたり4万円程度の販売手数料を受け取る。つまり、代理店はキャリアーから支払われる手数料を原資に端末のユーザー向け価格を値引きする。一方、キャリアー側は販売代理店に支払った手数料を獲得した回線から月々得られる通信料収入でおおむね2年程度かけて回収する。販売奨励金制度は、1994年4月に開始された端末売り切り制度とともに、国内における新規契約者を獲得するために急速に広がり、携帯電話の普及拡大の一翼を担ってきた。ところが、販売奨励金制度のもとでは、頻繁に端末を買い替えるユーザーは値引きの恩恵を享受できるのに対して、同じ端末を長期間利用するユーザーは割高な通話料金を負担する形になってしまうことに加えて、通話料金体系がユーザーにとって不透明になっていること、携帯電話の普及につれて奨励金の意義が失われつつあることから、総務省の「モバイルビジネス研究会」は販売奨励金制度の見直しをキャリアーに求めた。