通信ネットワークを通じて動画配信を行う形式の一つで、P2P技術を用いてユーザーのパソコン間でデータを受け渡す形で動画を配信する。2006年以降、動画配信の形式としてP2P技術の採用が相次いだ。P2Pは不特定多数のユーザーのパソコン同士が相互に接続され直接通信する通信ネットワークの利用形態や、それを実現する技術をさし、ファイル交換ソフトでP2P技術が使われている。従来よりの動画配信は、ユニキャストやIPマルチキャストとよばれる形式が用いられている。ユニキャストの場合、サーバーとユーザーが1対1で接続されて動画のデータを配信するため、ユーザー数が増加するにつれトラヒック(通信量)が増加、配信サーバー側の負担も大きなものとなる。IPマルチキャストの場合は、ルーターでパケットを複製して転送するためトラヒック量を抑えられるものの、IPマルチキャスト対応のルーターを用意する必要があり、設備コストが高くつくとされている。これに対しP2P動画配信の場合、動画のデータはユーザー間のパソコンで受け渡しをすることで、配信サーバー側の負担が小さく効率よく動画を配信できるとして注目されている。P2P動画配信の具体例としては主要ハリウッドスタジオと提携した動画配信サービスを展開するアメリカのBitTorrentのほか、国内でもTVバンク、伊藤忠商事が資本参加するウタゴエが展開するサービスなどがある。