パソコンやPDA(携帯情報端末)向けと携帯電話向けに分かれる電子書籍のうち、携帯電話向け電子書籍のこと。新しい書籍として注目を集め、2007年には、その成長が本格化した。利用者層は、10歳代前半から20歳代半ばまで、中高生を中心とした若年層で、7割は女性といわれる。一方、書き手も10歳代半ばから20歳代半ばまでで、同じく女性が多いといわれる。作品分野としては、読者が若年層中心であるだけにミステリー、ロマンス系が中心で、とくに学校におけるラブストーリーが人気。家族との関係を描いたものやホラーが人気上昇中といわれている。市場拡大の背景には、通信速度の高速化と定額制料金の導入によりダウンロードをできる環境が整備されたこと、携帯電話は常に身につけ片手で操作可能であり利用場所を選ばないこと、月額料金も300円台で十分な作品数を読めること、同世代の読者が作品の書き手であり生活に密着している内容などが挙げられる。またケータイ小説が受ける背景として忘れていけないのは、携帯電話ならではの提供形態が取れる点がある。たとえば、短い文章や一コマずつの絵が画面に出てくること、音や音楽、バイブレーション機能の利用など、従来の紙媒体で読むよりも読みやすく、豊かな表現力を持つことがある。ケータイ小説のヒット作品には紙媒体として書籍化され、数十万部のヒット作となったものもある。