競争時代の電気通信料金の規制方法として、料金の変更について物価上昇率等を考慮した上限を定める方式。従来は費用に利益を加えて料金を決めるという公正報酬率規制が行われてきた。公正報酬率方式は、(1)コスト節減など経営合理化のインセンティブ(誘因)がない、(2)コスト、プラス公正報酬として料金が一義的に決まってしまうため、競争に対応するための柔軟性に乏しい、などのデメリットがある。料金上限方式は、サービスをいくつかにグループ分けして、それぞれのグループごとに、平均値上げ率が物価の上昇率マイナス電気通信企業の生産性向上率(合理化努力分を含む)の範囲内に収まれば個別料金の改正を自由に行ってよいという、料金設定に自由度を与えるものである。事業者には、価格規制であって利益規制でないためコスト節減や売り上げ増へのインセンティブが働き、価格競争への対応が容易になる半面、上限の決め方が恣意的、あるいは過剰な利益への歯止めがないなどの批判もある。