近時の抜本的な著作権法改正に向けた議論の中で導入が検討されている、著作権者の権利を制限する一般的な規定。アメリカの著作権法では、著作権者に無断で著作物を利用しても、その利用がフェアユースに該当するものであれば著作権侵害を構成しないという、いわゆるフェアユース規定が既に導入されている。日本の現行著作権法は、「私的使用のための複製」「図書館における複製」など、権利が制限される場合を個別に列挙する方式を採用しており、一般的な権利制限規定は存在しない。しかし、現行制度下では個別の権利制限規定に該当しない限り著作権侵害となる可能性があり、検索エンジンなどのインターネットサービスや新たな技術に、柔軟かつ迅速に対応することができないという問題が指摘されている。政府の知的財産戦略本部のデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会は、2008年10月に公表した報告書案で、「個別の限定列挙方式による権利制限規定に加え、権利者の利益を不当に害しないと認められる一定の範囲内で、公正な利用を包括的に許容し得る、権利制限の一般規定(日本版フェアユース規定)を導入することが適当である」との提言をまとめている。