従来の患者情報(所見、治療過程、検査結果等)を医師の手書きにより記録していた紙のカルテに代えて、電子情報として編集、管理、記録し、データベース化した電子のカルテをいう。日本では、1999年4月に厚生省(現厚生労働省)が電子カルテを認め、2001年12月に同省が「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定し、06年までに「全国400床以上の病院及び診療所の6割に電子カルテシステムの普及を図る」ことを目標としたが、08年度の普及率は31.7%と目標に達していない。電子カルテの利点は、患者情報検索の簡易化、膨大なデータ(法的なカルテ保存義務期間である5年間以前のカルテ)が破棄されることなく記憶媒体に記録されることによる診療のスムーズ化、受付業務の簡略化、カルテ運搬の軽減等業務の効率化、診察情報の共有化、など医療の質の向上が期待される。半面、病歴等患者の個人情報・データの大量流失・紛失の危険性が増すことなどの懸念があげられるほか、電子カルテシステム導入に対して、特に中小の病院や診療所では、導入、設置後の保管管理にかかるコストが安価ではないことが普及妨げの要因になっていると考えられている。