2011年1月に最高裁判所の判断が示された、テレビ番組をインターネット経由で視聴できるようにするサービスの適法性が争われた事件。まねきTV事件は11年1月18日、ロクラク2事件は11年1月20日に判断が示された。まねきTVは、ユーザーが自分の手元にある子機から、インターネット経由で事業者側にある親機に指示を出し、テレビ番組を子機に転送させる。親機と子機は、ユーザーが購入して事業者に預ける形をとる。ロクラク2は、親機に録画機能があるという点がまねきTVとの違いで、親機と子機は事業者が用意する。これらのサービスは、このような仕組みで、特定の番組を視聴できない地方や外国でも視聴を可能にする点が特徴であった。知的財産高等裁判所(知財高裁)では、番組の録画を行っている主体はユーザーであるから、著作権法30条1項の私的使用目的の複製にあたるとの理由で、また、番組の転送についても、公衆に対するものではないとの理由で、適法とされた。これに対して、最高裁は、これらの行為の主体は実質的にはサービスを提供している事業者であり、このようなサービスは著作権侵害になりうるとし、さらに審理を尽くさせるため、事件を知財高裁に差し戻した。差し戻しを受けた知財高裁は、12年1月31日、著作権侵害とした上で、まねきTVの事業者に対して、当該サービスの停止と合計約170万円の損害賠償などを、ロクラク2の事業者に対して、当該サービスの停止と合計約1570万円の損害賠償などを命じた。