カナダ・オンタリオ州の情報プライバシーコミッショナーである、アン・カブキアン博士によって提唱された、プライバシー保護に関するコンセプト。「プライバシー・バイ・デザイン」(アン・カブキアン著・
堀部政男編、日経BP社)によれば、技術の進歩により、プライバシーへの影響が増大してきていることを背景にした、「プライバシー情報を扱うあらゆる側面において、プライバシー情報が適切に取り扱われる環境を、あらかじめ作り込もうというコンセプト」であると定義されている。具体的な対象としては、技術、ビジネス慣行、物理設計の三つが想定されている。技術はITをはじめとする様々な技術分野、ビジネス慣行は事業活動、物理設計には、対象となるサービスそのものに関する設計はもちろん、その利用時の基礎となるネットワークインフラなども含まれる。そして、プライバシー情報を利用しようとする段階ではなく、最初の段階、すなわち設計段階において、対応をあらかじめ織り込んでおくことが含意されている。