データ主体(自己のデータが処理される自然人)がデータ管理者に自己の個人データを消去させたり、配布することを放棄させる権利のことである。この権利は、欧州委員会が2012年1月に発表したEUデータ保護規則案第17条に規定される。同規則案は、ヨーロッパでインターネットが普及する以前の1995年に施行されたEUデータ保護指令に対して、全面的な改定をしたものである。昨今著しい進化を続けるグーグル、フェイスブックなど新しいサービスが出現するインターネット社会に対応するために、「忘却される権利」や「自動プロファイリングされない権利」など、新たに個人情報やプライバシー保護を強化する権利が創設されている。また、従来の指令と違い、EU全域を拘束する統一規則として位置付けられている。しかし、同規則案に対しては、インターネット事業者等からは、消去すべき範囲が明確でなく、個人の権利が強くなりすぎるのではないかなどの懸念も示されている。