電子媒体を対象とする出版権。著作権者から出版権の設定を受けた者(出版権者)は、海賊版を発行する者や、著作権者から別途出版の許諾を得て出版する者に対し、自らの出版権を侵害するものであるとして、その出版の差し止めを求めることができる。従来は、紙媒体の出版についてのみ出版権の設定を受けることができ、出版権者は、紙媒体での侵害に対してしか差し止めを求めることができなかった。そのため、例えば、漫画雑誌をスキャンされてインターネット上で拡散されたとしても、出版社は差し止めを求めることができず、著作権者本人のみが対抗できるだけであったため、適切な対策がうてないなど、問題点が指摘されていた。2014年の著作権法改正により、電子媒体を対象とする出版権も認められるようになり、このような、デジタル形式の海賊版に関しても、出版社が差し止めを求めることができるようになった。