国境を越えてデータ(特に個人情報)を移転すること。越境データ移転に関して特に問題となるのは欧州連合(EU)からのデータ移転である。EUは1995年EUデータ保護指令に基づき、EUが十分な保護レベルに達していないと判断する第3国に対しては個人情報移転を原則として禁止しており、世界の中でも厳しい越境データ移転規定として知られている。ただし、アメリカについてはEUデータ保護指令の例外措置として一定の基準を満たしていればアメリカへのデータ移転が認められている(セーフハーバー協定)。しかしながら、2015年10月6日に、欧州司法裁判所は欧州委員会がアメリカと締結しているセーフハーバー協定は無効であるとの判決を下し、その適法性が現在問題視されている。日本もEUからは十分な保護レベルに達していると見られておらず、またアメリカのようなEUとの政治的協定も締結していないことから、その都度、EUから個別の認定を得る必要があり、その承認までの時間やコストがかかっている点が課題として指摘されている。15年9月に個人情報保護法を改正した背景の一つにはこのEUからの認定を得ることがあった。