特定のマーケティング課題を解決するために、マーケティング機能の最適結合(ミックス)を開発し、展開すること。戦術との関係では、短期に対して長期、慣行に対して革新、分散に対して集中などの特徴をもつ。長い経験を経て、定式化された戦略も多い。「プッシュ戦略・プル戦略」(販売協力者であるセールスマンや流通業者に対する刺激に重点を置き、彼らの押し=プッシュをつくりだす戦略と、宣伝や店頭活動に重点を置き、消費者の引き=プルをつくりだす戦略)、「リーダーの戦略・ニッチャーの戦略」(市場競争における競争上の地位による戦略パターンの区分。通常、優位順にリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーに分けられる)などがそれである。しかし、企業はいつもそれまでになかった課題に遭遇する。したがって、常に新しい戦略が模索されねばならない。現時点でいえば、「総需要減少下の戦略」「価格競争を超える戦略」「集客寡占化時代の戦略」などがその焦点となるであろう。マーケティング戦略は、中心的にはマーケティング機能の最適結合を問題にするが、その展開にあたっては当然、組織、財務などの非マーケティング要素も入れて推進される。その意味でマーケティング戦略の革新は企業革新(変化し続ける経営環境に応じて企業が自己革新を進めること)に結びつくものとならざるを得ない。