マイオピアとは「近視眼」という意味で、マーケティングを実施するうえで近視眼に陥ってはいけないという戒めの言葉。1960年、ハーバード大学のセオドア・レビット(Theodore Levitt)教授によって提唱された。50年代当時、鉄道は自動車に、映画はテレビに、それぞれ取って代わられつつあった。ところが、あいかわらず鉄道産業の従事者は自社の提供するサービスの内容を「鉄道」と捉え、映画産業の従事者は自社の提供内容を「映画」と捉えて有効な対策を打てないでいた。そのことがまさに近視眼的なのである。つまり、人々が鉄道産業に求めていたものは鉄道そのものではなく「輸送」であり、映画産業に求めていたものは「娯楽」であったのだ。自らのビジネスや提供内容を近視眼的に捉えるのではなく、人々が求めているニーズや抱えている問題を理解すべきであるという点で、マーケティング・マイオピアはマーケティング発想の中核に位置づけられている。