原油価格は、かつて国際石油資本やOPECなどの石油産出国により価格支配されてきたが、現在では市場メカニズムに基づいた価格決定がなされている。代表的な指標としては、ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のWTI(West Texas Intermediate)原油先物とICE (InterContinental Exchange)の北海ブレント原油先物の流動性が高く、世界のエネルギー商品の指標価格となっている。近年では先進国の金融緩和を背景とする金融市場からの投機・投資マネーの流出入により価格変動が激しくなっており、アメリカでは投機マネーの取引を制限する規制強化の動きがみられる。また、行き過ぎた価格水準に対しては、OPECの増減産やIEAの戦略備蓄放出など産油国側・消費国側の双方から価格調整シグナルが出されることがある。原油の品質の違いから、アメリカ市場を代表するWTIが欧州市場を代表するブレントを1~2ドル上回る状態が従来は通常であったが、最近ではWTI原油の取引の極めてローカルな性質から、ブレントとの価格差が逆転した状況が続いている。