民間企業が発行する社債のうち、特に電力会社が発行するもの。その特徴としては、(1)定例的に年複数回発行され、発行頻度が高いこと、(2)機関投資家向けだけでなく、個人投資家向けにも従来から活発に発行されていること、(3)内外の複数の信用格付け機関により高い格付けが付与されていること、(4)電力会社の信用力の高さを反映して低利回りであること、(5)現在の社債の主流である無担保社債とは異なり、一般担保付社債(電気事業法37条により社債権者は社債発行電力会社の全財産について優先弁済を受ける権利を持つ)であることが挙げられる。2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故以前には、電力10社の社債発行残高は社債市場全体の約2割を占めていた。しかし、事故後は信用低下で発行が困難になり、資金調達を銀行借り入れに頼らざるを得ない状況が続いた。発行が再開されたのは12年3月に東北電力が起債を成功させてからで、7月に関西電力大飯原発3・4号機が再稼働して投資家の信用を得たことも影響し、現在、発行は正常に戻りつつある。原発を持たない沖縄電力以外の大手9社で発行再開していないのは東京電力だけとなった。ただし社債金利は事故以前よりも高い水準となっている。