石炭をガス化してガスタービンを駆動し、さらに排熱で蒸気タービンを駆動する高効率発電技術。燃焼の前にガス化するため二酸化炭素回収技術との組み合わせが容易であり、石炭火力発電の温暖化対策として注目されている。現在の主流である微粉炭火力発電に比べ、さまざまな環境特性が優れている。SOX(硫黄酸化物)やNOX(窒素酸化物)など環境汚染物質の発電量当たり排出量が削減でき、石炭灰はガラス状のスラグになるため容量が半減する。IGCCは(1)石炭前処理装置、(2)ガス化装置、(3)ガス精製装置、(4)ガスタービンと蒸気タービンの複合発電装置で構成される。石炭は、乾留・還元反応により一酸化炭素(CO)および水素(H2)を主成分とするガスに分解され、精製後、燃焼されガスタービンを駆動する。ガス化炉は、固定床式、流動床式、噴流床式に分類される。日本では、福島県いわき市にある勿来発電所において、大容量化と出力変動が容易な加圧型噴流床式のIGCC実証実験が2013年3月まで進められ、その後商業運転に引き継がれている。