原子力発電を新規に導入しようとしている国に対し、プロジェクト受注に向けた包括的な提案や関連調査を行うために2010年10月に設立された株式会社。日本には、原子力発電所の製造能力を有するメーカーとして東芝、日立製作所、三菱重工業の3社が存在する。しかし、過去の受注競争を見ると、同じ国家の中に複数の選択肢が存在することが原子力発電の新規導入国から必ずしも肯定的には受け止められなかった。また、途上国のプロジェクトでは、発電所建設のみならず、送配電網や周辺道路等の整備、運転・保守等の運営ノウハウ、人材育成、その他の国家間協力等を含めたものとして受注競争が行われており、メーカー単独での交渉には限界があった。こうした背景の下に、交渉窓口を一本化し、プロジェクト受注に向けた包括的な提案や関連調査を行うために設立された会社が国際原子力開発である。設立時の資本は2億円(資本金が1億円、資本準備金が1億円)で、その出資者は、電力9社(東京電力の出資比率が20%、関西電力が15%、中部電力が10%、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州電力が各5%)、東芝、日立製作所、三菱重工業(各5%)、および産業革新機構(10%)の13社である。政府による直接出資はなく、官民共同出資の投資ファンドである産業革新機構による出資が行われている。