日本は世界でも珍しく同一国において同程度の規模で二つの周波数(東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツ)で運用されている。この二つの周波数系統の間で電力を融通するために、いったん60ヘルツ(50ヘルツ)の交流を直流に変換し、直流を50ヘルツ(60ヘルツ)の交流電力に変換する設備を周波数変換所という。サイリスタバルブと呼ばれる高電圧・大容量のサイリスタ(Thyristor)を複数個接続させ、高電圧にも耐えられ、必要な電流容量を流せるようにした半導体素子により、交流と直流を変換している。供給信頼度の向上や電力融通、発電設備の効率的運用などを目的として、1965年から運用が開始され、年々設備が増強されている。二つの周波数系統の間でコストや供給能力に差がある場合は、周波数変換所を有効活用することができるが、両方の周波数系統で需給逼迫(ひっぱく)が生じている場合には、周波数変換所に空き容量があったとしても需給逼迫を解消する手段にはなりえない。