家庭用も含めた全ての需要家を対象に、電力の小売市場の参入規制を緩和して、新規参入を促し、競争を導入すること。背景には、発電技術の進歩によって自然独占性が失われてきたことや、規制緩和を進める社会情勢がある。競争原理を導入するため、通常は料金規制も廃止される。
わが国では、2000年代から産業用・業務用の大口需要家を対象とした部分自由化が段階的に進められてきたが、16年をめどに全面自由化が実施される予定である。また、家庭用需要家向けの電気料金の規制については、全面自由化実施後も経過措置期間が設けられ、小売市場の競争の進展状況をみた上で、廃止する予定となっている。
小売全面自由化が実施されれば、一般家庭も、電気の供給者や料金メニューを選択することが可能になる。また、新たに電気事業に参入する会社の他に、既存の電力会社10社も一般家庭を対象として、現在の供給地域に制限されずに参入が可能になるため、電力会社同士の競争の展開も期待される。