30坪(100平方メートル)前後、日常必需品約3000品目を販売する小型高密度の店舗で、立地(住宅やオフィスに近接)・営業時間(24時間年中無休)・豊富な品ぞろえという便利さを特徴とする。1970年代半ば以降、主としてフランチャイズ方式で店舗数を伸ばした。大手総合スーパー系チェーンのほかに、食品卸系、食品メーカー系、その他のチェーンがある。発祥の地はアメリカだが、日本のコンビニエンスストアはPOS(販売時点情報管理)を核とする最先端の情報システム、ベンダー(仕入れ先)の集約化・組織化、高度な物流情報システム(ロジスティクス)などによって、世界屈指の効率性を誇る。加工食品や日用雑貨に加えて総菜や弁当など中食の充実、各種公共料金の収納代行サービスなども含めた品ぞろえの拡大を図り高成長を続けてきたが、90年代以降は外食産業やスーパーなど他業態との競争も深刻化し、業態として成熟段階に入ったここ数年、業績は停滞気味である。大手チェーン各社は、新規出店政策を継続する一方で、不採算店舗の移転・閉鎖など店舗網の見直しに取り組んでいる。また各種情報サービスやチケット、旅行商品、音楽ソフトなどを販売するマルチメディア端末(キオスク端末)の設置や銀行ATM(現金自動預入払出機)の導入、日本郵政との連携など拠点数の多さを生かした事業を推進するほか、新業態開発にも取り組んでいる。とくに、百円ショップ(本体価格100円のワンプライス型小売業)や生鮮カテゴリーキラー(ディスカウント食品スーパー)などへの対抗策として打ち出した生鮮コンビニ(greengrocery convenience store)は、購買頻度が高い青果や加工食品、生活雑貨を均一低価格で販売するもので、従来のコンビニエンスストアが若い男性を主ターゲットとしていたのに対して、主婦や高齢者など、新たな顧客の獲得をめざしている。しかし、加工食品と生鮮品では流通経路やチャンネル管理、商品管理手法がまったく異なるだけに、オペレーションシステムの確立がビジネスの成否を分けることになる。