複数のメーカーや卸売業の商品をとりまとめ、店舗別に小分けして一括納品する物流方式。一括発注することで、小売業は発注作業の合理化や、事前出荷明細・出荷時ラベルの貼付による店頭納入時での検品作業の省略(ノー検品)、納入車両数の減少による荷受け作業の簡素化、カテゴリー納品(同一種類の商品をまとめて納品)による品出し時間の短縮、販売機会ロスの防止と商品回転率の向上のメリットがある。1980年代にイトーヨーカ堂が推進した窓口問屋制(地域ごとに指定された窓口問屋が、自社・他社の別を問わず同種の商品を集約し、店舗別に一括納品する物流方式)が原型にある。ほかに菱食と相鉄ローゼンやハックキミサワ、首都圏コープ事業連合(現・パルシステム生活協同組合連合会)、西野商事とファミリーマートなどの先進例がある。小売業自身が物流センターを建設し、運営を卸売業や物流業者に委託、物流センター利用料を徴収する場合と、卸売業が特定の小売業専用物流センターを設置する場合とがある。一括物流を受託する卸売業は、取扱量の増大によるセンター稼働率の向上のほか、受注情報やPOS情報の分析を通じたカテゴリー・マネジメント(category management 消費者ニーズに立ってカテゴリーを分類、管理する方法)の提案やフロア生産性分析などのリテールサポート(小売経営支援)を展開し、小売業との関係を強化できる。