一般的に販売者は自分で仕入れた商品の販売価格は自由に設定できるものであり、メーカーが販売者に対して、メーカーが定める小売価格から値引きすることを禁止すると販売者の事業活動を不当に拘束する(再販売価格維持行為)として独占禁止法違反となる。しかし書籍、雑誌、新聞、音楽用CDなど、一部の著作物については、発行者が販売者に対して値引き販売を禁止し、従わない販売者に不利益を及ぼしても独占禁止法違反にならないと第23条に定められている。これが著作物再販制度である。たとえば新聞は、発行本社と販売店の間の再販契約により販売店が定価からの値引販売することを禁止されており、発行本社が契約に違反した販売店との契約を解除しても独占禁止法上問題とはならない。しかし、著作物再販制度を利用するか否かは各事業者の任意であり、法律上の義務ではなく、再販契約を販売店と締結するかしないか、締結した場合にどの程度例外を容認するかは発行者の自由な判断に委ねられており、再販制度の利用にあたっては時限再販、部分再販や値幅再販などの方法があり得る。公正取引委員会は著作物再販制度の硬直的な運用は消費者利益に反するものと考えており、廃止の方向にあるが、業界との論点の一致が見いだせず、現状では存置されている。