食品の安全管理手法として、原材料、生産から流通にいたる一連の供給ルートを追跡確認すること、または食品の生産から流通の一連の足取り(履歴)を追跡できる仕組みのこと。おもな安全管理手法としてはHACCP(危害分析重要管理点手法)や総合衛生管理過程がある。BSE(牛海綿状脳症 狂牛病)や偽装表示問題、無認可添加物使用問題、輸入品の残留農薬問題その他によって、食の信頼性が揺らぎ、安全、安心に対する意識が先鋭化しているなかで、肥料や農薬利用の実態まで含めて正確な情報を把握し、どんな素材や添加物を使い、どこでどのように加工され、どの流通ルートをとっているのかを明らかにするためのトレーサビリティーの重要性が高まっている。しかし、食生活が多様化する現在、原材料調達先や加工地は世界中に広がり、生産・流通過程は複雑化する一方である。工場内での生産工程管理はともかくとして、生産地から店頭に並ぶまでの食品の履歴をたどるのは極めて難しくなっている。