製品中心のシステムや発想から顧客を中心としたマーケティング戦略への転換の必要性がいわれるなかで生まれてきた概念で、現時点での利益や目先の顧客価値(customer equity)だけでなく、その企業のすべての顧客が長期にわたって企業に与える生涯価値の合計。これまでの顧客満足論やリレーションシップ・マーケティングとブランド論、ブランドエクイティ論を統合する概念で、製品の品質や価格、利便性のように客観的属性に基づくバリューエクイティ、主観的・抽象的な評価から生まれるブランドエクイティ、顧客維持のためのプログラムや顧客との信頼関係を構築することから生まれるリテンションエクイティの三つの側面から成る。製品やサービスは次々に生まれ、去っていくものだが、顧客は常に存在する。施設設備などの物的資産や当該企業が最も強みとするものや個性(コンピタンス)、技術情報その他の知的資産も企業の価値を生み出す源泉であるが、顧客が生み出す価値はそれらよりも確実かつ信頼できる将来収益の源泉であるとの認識が前提にある。