複雑で閉鎖的と指摘される日本特有の取引慣行。新規参入阻害・高物価要因でもあった。メーカーは特約店制度(契約で販売店を囲い込む制度)や系列化政策の下で建値・リベート制(メーカーが設定した希望小売価格を基準に卸・小売価格が決定され、販売促進などの名目で割戻金〔リベート〕が払われる制度)などの商慣行を構築し、大型小売業はバイイングパワーを行使して、返品を前提とした委託仕入れ・消化仕入れ、派遣店員制、協賛金制度などの仕組みを作り上げてきた。しかし、国際化とITの進展が日本的取引慣行に変化を促した。1980年代、日米構造協議において大規模小売店舗法(大店法)を中心とする諸規制と日本的取引慣行が取り上げられ、一定の改善が見られた。90年代以降は商品調達の国際化が改革を促進した。国際的取引や商品調達においては伝統的な取引慣行に固執できないからである。流通システムの合理化・効率化が進んだことも不透明で複雑な取引慣行改善に貢献している。